2010年10月17日

サブプライムローン・バブルの発生と崩壊7


この記事は「予備知識無しでもよく分かる経済解説」シリーズです。

FRBとアメリカ政府の格闘

サブプライムローン証券化商品で損失を抱えた金融機関が貸し渋り・貸し剥がしを始めると、さまざまな業種の会社が資金繰りに困り、倒産していきました。倒産した会社に勤めていた人やリストラにあった人々は職を失い、失業率が上昇していきました。

世の中の経済に対する見方が悲観的になり、株価はさらに下落していきました。

「次のリーマン・ブラザーズはどこだ!?」と皆が疑心暗鬼に陥りました。

本来、銀行はお互いにお金を貸しあったりしているのですが、銀行はお互いが信用できなくなってしまい、銀行間のお金のやり取りが止まってしまいました。

こうして、金融システムは麻痺してしまいました。

このままパニック状態に陥った状況をほったらかしにしていたら、世界経済は大変なことになります。

そこで、アメリカ政府とFRBは大胆な措置を矢継ぎ早にとっていきました。
 
まず、FRBは政策金利を0%に下げました。

そしてさらに、FRBは金融機関が売れずに困っている金融商品を買い取りました。

アメリカ政府は、金融機関に公的資金を注入しました。

また、アメリカ政府は、「ジニーメイ」とよばれる巨大な住宅ローン会社に政府保証を与えました。

これらの異例な措置を次々と行ったおかげで、アメリカの金融機関は不良債権処理を早く完了することができ、アメリカの金融システムは落ち着きを取り戻しました。


【解説】
 銀行の「貸し渋り」「貸し剥がし」について
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企業に貸したお金が貸し倒れになったり、保有する土地が値下がりしたりして損失を抱えた銀行は、BIS規制で要求される「自己資本比率8%以上」という基準を守るために、「貸し渋り」や「貸し剥がし」を行って総資産を小さくすることがある。
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バブル崩壊が招く「次のバブル」

FRBとアメリカ政府の迅速かつ大胆な対策により、リーマン・ブラザーズ以外の大手米国金融機関は破綻を逃れ、金融システムの混乱は徐々に落ち着きを取り戻しました。

2008年9月のリーマンショック以降急激に下落した世界の株式市場は、2009年3月から上昇に転じました。

アメリカ発の世界恐慌という最悪の事態は避けることができました。

しかし、2010年10月現在、まだまだアメリカ経済は健康体に戻ったとは言えない状況です。

アメリカの失業率は9%近辺という高い水準のまま推移しており、個人消費は回復していません。少なくともこれらに回復の兆しが見えてこないと、金融緩和政策を解除することはできないでしょう。金融緩和政策の解除を早くやりすぎると、回復しかけた景気を再び失速させる可能性があるからです。

金融緩和政策をとっているのは、FRBだけではありません。日本銀行やユーロ圏のECBやイギリスのBOEなど主要先進国の中央銀行は、どこも低金利政策を取らざるを得ない状況が続いています。

そして、この先進国の低金利政策があらたなバブルを生み出しています。

先進国の低金利でお金を借り、新興国へ投資する動きが活発に起きているのです。

新興国は先進国と違い、金利が高いため、新興国の債券が先進国の投資家の間で人気を呼んでいます。

また、新興国は今後大きく経済成長することが予測されているため、新興国の株式や不動産にも先進国の投資資金が流入しています。

そもそも、先進国の中央銀行が低金利を続けているのは、国内でのお金がスムーズに流れ景気を良くすることが狙いです。しかし、現実には、低金利で調達された先進国のお金が新興国へ流れ出てしまっているのです。

現在、中国やブラジル等では、不動産や株式にバブルが発生しているのではないかと心配されています。

先進国の低金利政策が新興国でバブルを起こしているのです。

新興国に流入を続けている先進国資金が、何らかの要因によりある日突然流出するようなことがあれば、新興国バブルが崩壊する可能性があります。

そうなると、最悪の状況から脱しつつある世界の景気が、二番底に落ちるかもしれません。

【解説】
 サブプライムバブル崩壊と新興国バブルの発生について
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2008年サブプライムバブルが崩壊したため、世界の中央銀行は低金利政策などの金融緩和政策を実施した。
しかし、先進国で低金利で調達されたお金は先進国内でなく、高金利で経済成長期待の高い新興国へ流れた。これにより、新興国では株式や不動産にバブルが発生した。
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バブルのバトンリレー

ITバブル→サブプライムバブル→新興国バブル、というバブルのバトンタッチ・リレーが行われています。

ITバブル崩壊からサブプライムバブル発生へのバトンタッチはうまくいき、世界経済はあたかもスムーズな成長を続けているように見えました。

サブプライムバブル崩壊から新興国発生へのバトンタッチはうまくいかず、バトンを一度地面に落してしまい、世界経済は大混乱に陥りました。

いま新興国バブルにバトンが渡されていますが、問題が一つあります。サブプライムバブルによって発生したアメリカの異常な消費量は、新興国バブルによって新興国で増加している消費量よりも、圧倒的に大きかったのです。

そのため、今の新興国バブルがサブプライムバブル崩壊の穴を埋めることはできそうにありません。

「近い将来サブプライムバブルの頃のような景気が戻る」と考えるのは危険です。

つぶれたバブルを次のバブルで穴埋めするような、短絡的な措置を繰り返すべきではありません。金融経済の縮小と膨張を繰り返し、そのたびに人々は異常な好景気に浮かれ、異常な不景気に絶望する、ということを繰り返すだけです。

生産性を向上させ、実体経済を成長させることで生活水準を向上させることが大切です。

【解説】
 バブルとバトンリレーについて
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世界経済は、バブルの崩壊→金融緩和政策の実施→次のバブルの発生→バブルの崩壊、という循環を繰り返してきた。そのたびに異常な好景気と異常な不景気を繰り返し、人々の生活を混乱させてきた。
金融経済の膨張と縮小を繰り返すことに振り回されるのではなく、生産性の向上による実体経済の成長によって豊かになることが大切である。
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posted by Tabbycat at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・経済を知る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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