近代以前の農民が貧しくなっていったプロセスを例にとってみましょう。
最初は、皆が自分の土地を耕していた。そのうち、広い土地を耕す人、そこそこの広さしか耕さない人がでてきた。運不運も作用し、次第に農民の生産量に差が出てきた。
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凶作などをきっかけに自給自足や税の支払いができなくなってしまった人が、目先を凌ぐために借金をしたり、自分の土地を売って小作人(自分の土地を持たず、小作料を支払って地主の土地で耕作する人のこと)になった。多くは「借金を抱える小作人」というコンボ状態となった。
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買い集めた土地を他人に耕作させ小作料を取る<富農>と、土地を借りて耕作し小作料を支払う<貧農>の二極化が進んだ。富農は高利貸業を同時に営み、貧農に高利で貸し付けた。小作料と利子収入で富農はますます豊かに、貧農はますます貧しくなった。さらに富農が国税の徴収代理人となり、税をピンはねするケースもあった。
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昔は生活保護制度なんかなかったし、強者による搾取は容赦のないものだったので、貧者は餓死するところまで追いつめられた。困窮が臨界点に達した時、貧農は反乱をおこしたり、農地から逃げ出して盗賊団を形成し他の貧農・富農から略奪したり、という<団結した暴力行為による富の再分配>という手段をとった。
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反乱・略奪の多くは国家によって制圧された。しかし、事態を理解した王や政府が、貧農の借金の帳消しにしたり、富農から土地を取り上げ貧農に分配し小作人制度を禁止する命令を出したりすることもあった。
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しかし、土地を失う小作人と、広大な土地を持つ地主は、歴史上何度も繰り返された。
以上は日本、中国、ヨーロッパなどをごちゃまぜにした解説なので、厳密には正しくないですが、貧富の二極化はだいたいこんなプロセスをたどったといって差し支えないです。
歴史のどの部分を見ても、貧困層には以下の共通点があります。
1.高金利の借金を抱えている
2.資産を持たない(自分の身体だけが資本)
3.低賃金、劣悪な環境での労働を強いられている
4.重税を支払っている
5.刹那的な娯楽(ギャンブル、酒、麻薬)にはまっている
世界から貧困層をなくすには、これらの要素をひとつずつ解決していけばよいのです。
1.まず、1の借金を帳消しに(または減免)してあげる。
2.資産を割り当てる(農家には農地、主婦にはミシンやちいさな店舗など)、または購入資金を低利で融資する
3.教育を提供し職業選択の幅を広げさせる
4.税制があきらかに不公正な国に対しては、税制を改革する
5.刹那的快楽のデメリットを宣伝する
内政干渉できないという壁があり、世界の貧困を僕めくするには時間がかかります。
しかし、日本の貧しい人がそこから抜けことは個人の努力と周囲の支援で可能です。勉強し自分に適した仕事に就き、借金を返し、お金を貯め、利子を支払う側から受け取る側へ移るのです。ギャンブル、酒、麻薬は自分の意思でやめる必要があります。やめるのを支援する組織もあります。
私が心配するのは、日本に貧困層予備軍が増えていることです。職業に就いてはいるものの、消費者金融や長期の住宅ローンを抱え、貯金していないという人がたくさんいます。<凶作>が<余剰資産を持たない農民>を<貧農>にしたように、<経済成長の停滞>が<余裕資金を持たない給与所得者>を<多重債務者>にする可能性があります。
パーソナル・ファイナンスの大切さと、私が知っているノウハウは、今後当ブログで取り上げていきます。
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