2010年12月30日

コンパクトで綺麗な国

日本の経済規模は、人口減少と高齢化によってまちがいなく縮小するでしょう。

日本をサッカーチームに例えると、11人チームだったのが、10人、9人、、、とだんだん人数が減っていくようなものです。しかもチームメンバーの年齢は徐々に上がっていきます。

もちろん、サッカーチームの強さは人数だけで決まるものではありません。
 
一人ひとりが技術・体力を向上させれば、人数が減ってもチームの強さを維持することは、理屈上では可能です。これを経済用語でいいかえると「日本の人口が減っても一人当たりの生産性を高め、一人当たりGDPを増やせば、国全体のGDPを成長させることも可能」というロジックになります。

ものすごく革命的な戦術が開発されれば、たとえ人数が5人でも11人チームに勝つことができるかもしれません。これを経済用語でいいかえると「イノベーションを起こすことによって経済成長は可能」というロジックになります。

しかし、「人口減少」と「高齢化」という間違いなくおとずれる事実を凌駕するほどの「一人当たりの生産性の向上」や「イノベーション」を期待するのは難しいと考えます。日本の経済規模は縮小する可能性が高いと考えておくことが妥当です。

ここで重要なのは、国全体の経済規模が縮小しても日本人は幸せになれるということです。

そのために日本の政府、企業、個人は、国全体の経済規模を拡大するというこれまでの路線から、一人当たりの経済の質を高める方向へ転換することが必要です。

国全体では、経済規模の縮小にともない、財政規模と債務残高を縮小させることが必要です(ただし、今のような景気後退期に政府支出を減らすと景気をさらに悪化させることになるので、足許では国債発行による政府支出の増加が必要です)。人口減少を家族に例えると、「家族が減って家がガランとしてきた」ような状態です。風呂・トイレ・台所・居間といった必要な部屋はリフォームする一方で、独立して出て行った子供の部屋は破棄するような、メリハリあるインフラ政策を実行しなければなりません。

企業は、収益の右肩上がりを目指す経営から、一株当たり利益の維持・向上を目指す経営にシフトすることが必要です。そのためには発行株式の買い戻しなどが必要です。今までのような体力勝負で坂道を駆け上るような経営でなく、頭をつかって下り坂をスムーズに降りていくような経営が求められます。

とはいうものの、国や企業が上で述べたような路線変更をするには時間がかかるでしょう。首相が「我が国の経済は縮小します」といったり、社長が「わが社の売り上げは減少します」といえば、あっという間にクビです。当面は、国や企業は右肩上がりを目指すふりをしなければならないでしょう。

しかし個人は、国や企業とちがって素早く路線変更することができます。そこで、個人は、国や企業をあてにせず、経済が縮小する中で幸せに生きるための方法を考え実行しなければなりません。一人当たりGDPが減るわけではないので、一人ひとりが今から貧しくなる訳ではありません。ただし、人口減少と高齢化によって経済構造は変わるので、成長産業は変わります。衰退業種に勤めている場合は成長産業への転職を考えた方が良いかもしれません。

また、ピータードラッカーは「企業の寿命は人の寿命よりも短くなる」と予想しています。つまり、一つ企業に勤める生き方はできなくなるかもしれないということです。企業への滅私奉公的な働き方から、社会に貢献できる能力を身につけ、能力を活かせる企業を常に探し続けるような働き方をする人が増えるでしょう。


最後に、国全体のブランディング戦略としては、「世界第二位(今は三位)の経済大国」という立場から、「コンパクトで綺麗な国」というブランドへシフトしなければなりません。おとなしい性格が災いし「経済大国のくせに責任を果たしていない」と批判を受け続けた日本には、「コンパクトで綺麗な国」という位置づけの方が向いているかもしれません。その意味で、Chikirin氏の「日本はアジアのイタリアに」という記事は面白い洞察でした。


人口減少・高齢化社会で日本人が幸せになるというテーマ、特に「個人一人ひとりがどうすればよいか」は、私にとって大切なので、これからも書きます。


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posted by Tabbycat at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・経済を知る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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