![すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) [新書] / 小幡 績 (著); 光文社 (刊) すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363) [新書] / 小幡 績 (著); 光文社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/31tc%2BTqW0uL._SL160_.jpg)
すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)
なぜ、経済は成長するのか?昔から議論が繰り返されてきました。
大昔は、重農主義の「太陽と労働から作物を作る。つまり「無から有」を作り、新たな富を生み出している。これが経済成長の要因。」という主張がありました。
一方では、重商主義(植民地から資源、労働力などの富を奪い取る)によって、急激に富を増やした国がありました。重要主義者は重商主義者を「富を奪うだけで、富を生み出していない」と批判しました。
その後、近代経済の祖アダム・スミスは、「経済成長の理由は分業。作業効率を高め労働生産性を高めると、たくさんの物を作り売ることができ、経済規模が拡大し、経済が成長する。」と考えました。
この分業を可能にするためには、資本が必要です。資本を使って工場を建て、機械や道具を買い、人を雇ってはじめて、分業体制が可能となります。
アダム・スミスの時代までは、生産効率を高めれば、経済は成長しました。そこには、作れば作っただけ、必ず売れる、つまり、物に対する需要は供給を常に上回っている、という前提がありました。
ところが、1929年の大恐慌でこの前提が崩れます。需要には限界があることが明らかになったのです。
そこで、いかに需要を作り出すか、を考えることになりました。その答は、「未開の地に資本主義を導入し、経済全体の規模を拡大する」でした。そして資本主義は世界中に広められました。
しかし、未開のフロンティアは限られています。一方で、資本はこれまでの経済成長で増大しています。そうすると、資本が獲得するリターンは低下していきます。
資本は、少しでも高いリターンを求めて世界中を駆け巡り、獲得したリターンで増殖を続けました。
こうして、最初は「経済成長のための資本」だったのが、「資本増殖のための経済」と主従が逆転してしまいました。
しかし、実体経済の成長には限界があります。未開のフロンティアにも限界があります。
それでも、資本は増殖したがります。残された手段はただ一つです。
「自分の資本を他人に高く売る」という方法です。つまりバブルを起こすのです。
しかしこの方法にも限界があります。自分が資本を高く売るためには、自分より資本を多く持つ他人がいないといけません。
その他人は、どこから資本を手に入れるのでしょうか。つきつめていくと、実体経済からしか資本を増やすことはできません。
だから、実体経済からかけ離れたバブルはいつかはじけてしまうのです。
以上は本書のまえがきの要約です。全文は本書でご確認ください。経済の本質を一言で表現してあります。
本書の本編では、2007年から2008年にかけてサブプライムバブルがどのように崩壊していったのか、克明に記述されます。
大暴落1929
実態経済の成長率以上のペースで自分の金融資産を増やしたいと考えている強欲な投資家がいるかぎり、バブルの発生と崩壊は避けられません。強欲な投資家とは、投資銀行やヘッジファンドに限りません。投資信託を買って年利5%以上の利回りを期待している個人投資家も、世界の実態経済以上の利回りを求めているといえます。
つまり、普通の投資家が存在する限り、バブルは必ず発生しはじけるのです。今後は、実態経済に投資することによる投資収益よりも、バブルを上手く乗りこなすことによる投資収益のほうが格段に高くなるでしょう。
本書は資産運用で資産を形成しようと考えている全ての投資家にお勧めできる本です。バイ・アンド・ホールドで資産を形成しようとすることが、今後はいかにハイリスクかがわかります。そして、バブルの波に乗り、上手くバブルから降りるためのヒントが数多く得ることができます。
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すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)
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