2011年05月18日

板坂 元「考える技術・書く技術」


考える技術・書く技術 (講談社現代新書 327)

文章を書くための、頭のウォーミングアップの仕方、情報収集、情報整理の仕方、文章の構成や表現の考え方が解説されている本です。

1971年に書かれた古い本ですが、著者が長年の試行錯誤の上で編み出した知的生産の手法には時の洗礼を受けた普遍性があり、現代の私達にも非常に参考になります。

特に私にとって参考になったのは、カードの作成方法です。

サイズはワイシャツの胸ポケットにも入る3×5インチ(タテ7.5cm、ヨコ12.5cm)。著者の特徴は、赤、緑、黄、白の4色のカードを使うところです。

白:専門の資料で永久保存するもの。著者は日本古典文学が専門なので、古典の問題、言葉の用例を書き込む。

:専門外で長年とっておくつもりのもの。「わきがは赤毛の女にもっとも多く、ブルネットがそのつぎ、栗色ブロンドがいちばん少ない」など何の役にたつのか自分でも分からないが、とにかく好奇心をいただいた話題がこのカードの中におさめられる。

:短期決戦用。期間4ヶ月以内の仕事の場合に、黄色カードに自分の意見でも引用のための文句でも、目につき気がつくものは片っぱしから記入する。使いたい比喩や警句もカードになるし、論文に書き入れる文の一説を書き込むこともある。これが何百枚か手元にたまったら、新書1冊分の蓄積になる。ある程度このカードがたまってくるころには、本や論文の構想がまとまりかけている。黄色カードがだんだんとふえて来て、ある一定の量を越えるころには、情報集めの作業がアイデア集めの作業にとってかわる時間で、一種の興奮をおぼえる。これは頭を使う仕事には貴重な心理現象。

:緊急用。なにか読みものをしていて、引用されている文献に興味が生じたとき、現在やっていないことでアイデアが浮かんだとき、といった場合に書きつけておいて、メモ代わりにして机の上に置いておく。用件がすめば破り捨てる。赤い色は目立つので、こういう用途に一番適している。買い物リストや買いたい本など、赤いカードを使い始めてから忘れるということがなくなった。

この情報収集・整理法は、現代だとエバーノートなどで応用できます。カードを色分けする代わりにフォルダを分ければよいでしょう。

スマートフォンでエバーノートをつかって情報を整理すれば、何万枚ものカードを持ちあるくのとおなじ効果が得られるでしょう。私は普通の携帯しか持ってないのでできませんが、お持ちの方はぜひ試してみてください。

私は「2012年3月31日までに、知識を集大成させた本を書く」という目標を立てていて(過去記事参照)、毎日ペーパーを書く、毎日論文・資料を読む、というタスクを自分に課していました。

しかし、構想がまとまっていないのにペーパーを毎日書くのは難しい、ということに気付きました(最初から気付けっ!)。

そこで、ペーパーを書く前に、論文・資料を読みながら黄色カードを500枚くらい書きためることを目標にしました。このような軌道修正を思いつけたのも、本書のおかげです。


最後に、引用したい文章や統計情報を日ごろから収集することについて、刺激をうける文章があったので紹介します。

P151
ケネディ大統領のスピーチ・ライターをしていたセオドール・ソレンセンの「ケネディ」(邦訳「ケネディの道―未来を拓いた大統領」)によれば、ケネディは学生の頃から黒いノートブックを持っていて、この中に引用したい文献を書き溜めていたそうだ。ソレンセンなどが普通の引用句辞典を使ったのに対し、彼はノートブックもさることながら、記憶もよくしていて、彼のスタッフや国会図書館に調べさせたという。ケネディのスピーチがインテリをひきつけた原因の一つは、この引用の素晴らしさにもあった。


スピーチの達人は才能があるだけでなくて、若いときから日ごろの努力を積み重ねていたのですね。


考える技術・書く技術 (講談社現代新書 327)

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posted by Tabbycat at 21:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 知識・スキルを高める | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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