2012年01月11日

スネ夫とジャイアンで理解するTPP亡国論

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TPP亡国論 (集英社新書)


本書はTPPの是非を問うのに経済的面の分析にとどまらず、TPP交渉参加に至るまでの政府の意志決定のお粗末さ、既得権益をめぐる業界団体などの動きがTPPのお議論をゆがめていることなど、さまざまな視点からTPPを分析・検証してあります。TPPについて知っておくべき論点を網羅してある点も本書の強ですが、本書が画期的なのはもっと次元の違う所にあります。
 
それは、著者が、日本は貿易黒字をため込むべきではない、と考えているところです。グローバル・インバランスの是正は世界経済の安定のために必要だという立場をとっています。この点が、保護主義の立場からTPPに反対する他の人々と大きく異なる点であり、これにより本書の議論が公平なものになっています。

日本やドイツや中国が輸出で貿易黒字を獲得して経済成長し、アメリカは輸入で貿易赤字を拡大しつづける、という図式はいつまでも続けられるわけではありません。これは国レベルでなく個人レベルの例に置き換えてみると簡単に理解できます。

スネ夫がせっせと物を作り、ジャイアンに売るとします。ジャイアンは全く何も作りません。スネ夫が作った物を消費するだけです。そのうちジャイアンにはお金がなくなります。一方、スネ夫の財布はジャイアンに物を売って稼いだお金でパンパンです。そこでスネ夫はジャイアンにお金を貸します。ジャイアンはスネ夫から借りたお金で再びスネ夫から物を買います。。。この状態を世界的不均衡、グローバルインバランスと呼びます。こんなことが永遠に続けられるわけがありません。ジャイアンが「借りた金は返せない」とデフォルトを宣言すれば、スネ夫が膨大な不良債権を抱えることになります。

スネ夫もジャイアンもバカだと思うでしょう。しかし、こんなバカなことが実際の世界で起きているのです。現在の欧州債務危機では、ギリシャがジャイアン役を演じています。ドイツとフランスがスネ夫です。

その前のサブプライムローンバブル崩壊では、サブプライイム住宅ローンを借りたアメリカ人がジャイアンで、リーマンブラザーズをはじめとする世界中の金融機関がスネ夫です。

このように、誰かがお金を借りまくり、誰かがお金を貸しまくるということはいつか破綻します。だから、スネ夫とジャイアンの両方が物を売り買いして、どっちも収支トントンであれば、誰も借金せず、貸すこともなく、経済は安定します。だからグローバルインバランスの是正が重要なのです。

ところが今は、日本やドイツや中国だけでなく、世界中の国々が輸出拡大による経済回復をめざしています。

すべての国が純輸出超過をめざした結果、どこの国も収支トントンだった、となれば結果オーライですが、貿易黒字国と赤字国の二極化が進んだ場合は注意が必要です。グローバルインバランスが継続不可能となったとき、いずれリーマンショック、ギリシャショックと同じ事態が起きるでしょう。



TPP亡国論 (集英社新書)


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posted by Tabbycat at 22:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・経済を知る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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