2012年02月23日

ラグラム・ラジャン「フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く」

よろしければ、ブログランキング応援クリックお願いします。
人気ブログランキングへ


フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く


Fault Lines: How Hidden Fractures Still Threaten the World Economy


今Fault Linesを読んでいます。本書は和訳も出ていますが、安くて英語の勉強にもなる原書のペーパーバックの方を買いました。

本書は、アメリカでサブプライム・ローン・バブルが発生し崩壊したのは、世界の経済・社会に広がるFault Lines(大断層)が原因だと説きます。

Fault Lines(大断層)の一つが、アメリカ国民の間での教育格差と、それによって生じる経済格差です。
 
 

アメリカではかつて、「誰でも豊かになるチャンスがある」というアメリカン・ドリームが信じられていました。昔は、高校を卒業して職に就いて勤勉に働けば、十分な報酬を獲得しマイホームを建てることができました。

しかし現在では、オートメーション化や低賃金国(インドなど)へのアウトソースによって、アメリカ国内から単純作業の仕事が減っています。

一方で、大学や大学院を卒業した人は、オートメーション化やアウトソースによって生産性を向上させ高給を得ました。こうして受けた教育の違いによる経済格差が拡大していきました。

この問題を正面から解決するためのであれば、答えは「教育改革」しかありません。貧しい家の子供にも十分な教育を受ける機会を提供すればよいのです。

しかし、教育改革が成功したとしても、今の子供が成人する十数年後にしか成果は現れません。それに、今困窮している大人にとって教育改革は全く意味がありません。「あなたの人生はあきらめてくれ。あなたの子供は教育を受けて豊かになるから」と言われても納得できないのは当たり前です。

政治家が選挙に勝つためには、今すぐ実現できるアメリカンドリームが必要でした。それが、「貧しい人でもローンでマイホームを買える」という夢でした。

こうした政府の思惑と金融業界の利害が一致し、サブプライムローンが開発され、貧しい人でもローンを借りて家を買うことができました。次々に人々が家を買うので、不動産価格は上昇しました。家を買った人は、価格の上昇した不動産を担保にさらにお金を借りてレジャーや買い物を楽しむことができました。

「成長は全てを覆い隠す」の言葉通り、不動産価格の上昇によって教育格差や経済格差という問題は被い隠され、解決は先送りされてしまったのです。

ところが2008年に、サブプライムローンバブルが崩壊すると、状況は一変しました。不動産価格の上昇した家を担保にローンを借り変えようと思っていた人たちはあてがはずれ、ローンを返せなくなり、家を失いました。景気の急速な悪化により、失業率は10%近くまで上昇しました。

一方でウォール街の金融機関は、景気悪化によって低下した金利でドル資金を調達し、新興国通貨に投資するなどの手法で利益をあげ、行員は破格の報酬を得ました。

こうして経済格差による不満が高まり「ウォール街を占拠せよ」運動が起こりました。

今年アメリカは大統領選挙を控えています。オバマ大統領が再選するには、米国内の雇用を増やさなければなりません。過去において高失業率のまま再選を果たした大統領はいないのですから。

雇用を増やすためにオバマ大統領はあらゆる手を打とうとしています。その一つが輸出の拡大です。そして輸出拡大のための重要な方策のひとつがTPPです(もう一つは、南スーダンへの兵器輸出解禁です)。

こうして振り返ると、現在のアメリカがTPPを推進する理由が、アメリカ国内の教育格差に端を発するものだということがわかります。

現在の先進国には、世界征服の陰謀を持つ権力者などいません。各国の政治家が、選挙に生き残るために国民の人気を得ようと四苦八苦しているだけです。アメリカだけでなく、欧州各国の首相も同じです。

こういうポピュリズムがいきすぎると、サブプライムローンバブル崩壊のような事態が起きるので注意が必要です。人気稼ぎのために各国の政治家がなにをしているか。それによって何かが歪められていないか(たとえば、かつての米国住宅価格)、慎重に観察しなければなりません。

サブプライムローンによって米国経済が歪められた時、ポールソンというヘッジファンドがサブプライム関連証券の空売りで大きな収益を獲得しました。このような投資機会が、再び現れるかもしれません。


フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く


Fault Lines: How Hidden Fractures Still Threaten the World Economy


よろしければ、ブログランキング応援クリックお願いします。
人気ブログランキングへ

ツイート、はてブいただけますと、下に自動的に相互リンクされます。是非おねがいします。
↓↓


posted by Tabbycat at 22:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・経済を知る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。