
ブレイクアウト・ネーションズ:「これから来る国」はどこか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
「ブレイクアウト・ネーションズ」
本書は、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの新興国市場およびグローバル・マクロ担当ディレクターである、ルチル・シャルマ氏の著作で、《フォーリン・ポリシー》誌により「読むべき21の本」の1冊に選出されました。
1カ月のうち一週間は新興国に滞在し、足を使ってその国を知り尽くす、という手法で各国に精通した著者が新興国1つ1つについて解説し、どの国が最も有望かを分析しています。
しかし、韓国をほめ過ぎなのが、少し違和感を覚えました。
韓国の指導者たちは、故・金正日とその一族による無能な統治の結果、北朝鮮がいずれ崩壊することを想定している。ソウルが政府債務をGDPの34%に抑えている大きな理由はまさにこれで、北朝鮮を再建する莫大なコストを吸収するために、準備を整えているのである。そして北は、韓国がさらなる成長を果たすための投資対象とみなされるようになってきた。実際、韓国の政策決定者たちは統一を確信している
(中略)
今後5年、あるいは10年以内に統一した韓国が、一気に爆発的な成長を遂げることも、考えられないことではない。南北が統一すると、まったくエネルギー資源を持たない経済に、北の莫大な石炭の備蓄量が提供されるだけでなく、すでに十分な力を蓄えている韓国の労働市場に、新たに2400万人もの規律のとれた労働力が加わることとなるだろう。韓国が閉鎖的な北の共産主義社会をうまく取り込めるだろうか?そう疑いを持つ人々には、世界中でめくるめく変化したトレンドに、この国がいかに素早く適応したかを考えるべきだ。だからこそ、今や韓国が唯一の金メダリストとして君臨しているのである。
・・・うーむ。
南北統合で労働資源という供給力が強化されるかもしれませんが、現在の世界経済では供給不足でなく、需要不足がネックとなっています。
世界の需要が停滞する中、統一された南北朝鮮の供給能力が高まると、南北朝鮮の失業率上昇、賃金下落がおきないでしょうか。
本書の予言が当たるのか、南北朝鮮の動向を見守りたいと思います。
ブレイクアウト・ネーションズ:「これから来る国」はどこか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
